ビルブロガー会のメンバーで、いつもお世話になっている@関西人さんが「日本のビルベスト100」を出版されました。@関西人さんは知る人ぞ知るビルマニア界の重鎮的存在でありながら、これまであえて積極的に表舞台には出てこられなかった方です。今回初めて完全に著者としてデビューされたということで非常に嬉しく思っています。
それでは本の内容を少しだけ紹介します。
@関西人さんの著書「日本のビルベスト100」の表紙。株式会社エクスナレッジからの発行です。イメージは新宿にあるモード学園コクーンタワー。「日本の美しい超高層ビルの魅力に迫る」という帯の紹介文がわくわく感を高めてくれます。
第1章はLANDMARK。文字通り地域のランドマーク(目印、象徴)となっている高層ビルを紹介。トップバッターは六本木ヒルズ森タワー(高さ238m)。文句無しです。
JR名古屋駅前に建つJRセントラルタワーズ(高さ245m)。名古屋の景観と人の流れを大きく変えたビルです。これをきっかけに名駅の高層化が進んでいきます。
大阪ビジネスパークに建つクリスタルタワー(高さ157m)。ランドマークというのは決して絶対的な高さだけではなく、立地や外観も重要という視点が非常に良いです。
第2章はFORM。特徴的な外観を持つ高層ビルを紹介しています。このページは黒川紀章氏設計による北九州市の門司港レトロハイマート(高さ127m)。
関西からは梅田のあいおいニッセイ同和損害保険フェニックスタワー(高さ145m)、滋賀の大津プリンスホテル(高さ137m)など。この辺りは納得の選出です。
東京スカイツリーイーストタワー(高さ158m)とNTTドコモ川崎ビル(高さ130m)。やはり第2章はテーマ的にマニアックなビルが多く選出されている印象です。
第3章はHISTORY。歴史的なストーリーを持つビルやエポックメイキングなビルを紹介。これは日本で初めて100mを超えた霞が関ビルディング(高さ147m)。
先代歌舞伎座の外観を継承したGINZA KABUKIZA(高さ146m)。
日本初の本格的ツインタワーとなった、TWIN21(高さ157m)と山王パークタワー(高さ194m)。第3章は読み物としても非常に興味深いものが多いです。
第4章はTECHNOLOGY。建築技術の粋を集めたビルを紹介。まずはツインビルの上空を空中庭園と呼ばれるブリッジで連結した大阪の梅田スカイビル(高さ173m)。
地震国の日本でも300mクラスが実現可能であることを証明した横浜ランドマークタワー(高さ296m)。20年以上、日本一の高さを誇る超高層ビルとして君臨しました。
最後のページは現時点で日本一の高さの超高層ビル、あべのハルカス(高さ300m)。これを最後にもってくる辺りに@関西人さんのこだわりを感じます。
巻末にはビルの構造にまつわる用語解説付き。勉強になります。
「日本のビルベスト100」では著者本人による写真以外にも、超高層ビビルシリーズの中谷幸司氏、大阪ビル景の石原祥氏から写真の提供を受けており、まさに日本を代表するビルマニア達の合作と呼べる高品質な写真集でもあります。また100本に厳選して贅沢にページを使用したことで、非常に迫力のある画面構成になっています。
これまで高層ビル本は、全国のビルを網羅したデータベース的なもの、地域に特化したもの、建築学的な視点のもの等が既に出ていますが、@関西人さんの本は長年の経験と取材によって積み上げらた知識の豊富さによる独自の切り口でビルの魅力を紹介しています。そこには心底からビルが好きなんだという情熱があります。
「日本のビルベスト100」は、高層ビルに興味を持ち始めたばかりの方には入門書として、また既にビルに造詣が深い方には知識の補助となる素晴らしい書籍だと思います。興味のある方はぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。
@関西人さんのサイトとブログ