古くから交流のある夜景写真家の岩崎拓哉氏が初の著作を出版しました。近年の夜景本は、高価格で部数が見込めない写真集から、手頃な価格で部数が見込めるガイドブック的なもの(当方の大阪夜景など)へとシフトしつつあり、またカメラ初心者をターゲットにした撮影の手引書も増えてきています。今回紹介する岩崎氏の本は、写真集、ガイドブック、撮影の手引書の全要素を持った新しいタイプの本となります。
岩崎氏の著作。左が「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック」、
右が「ゼロから学ぶ工場夜景写真術 撮影テクニックと全国厳選スポット72」。
まずは2016年2月19日出版の「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック」。日経ナショナルジオグラフィック社からの発行です。
本の基本骨格となっている撮影地ガイドのページ例。北海道から沖縄まで全国の161スポットを、おすすめの撮影時間や方向、機材等の解説付きで紹介しています。
大阪の定番スポットはこのような感じ。
後半は撮影機材と撮影テクニックの解説となります。被写体は夜景を対象としていますが、内容的には風景撮影の基本を学ぶのにも使えると思います。
夜景を印象的に見せる為のテクニックも充実。花火、紅葉、イルミネーション等の撮影シチュエーション別に、覚えておいて損はない技法を紹介しています。
もう一冊は2016年8月25日出版の「ゼロから学ぶ工場夜景写真術 撮影テクニックと全国厳選スポット72」。アスペクト社からの発行です。
内容は前作の工場夜景特化版となります。工場夜景の歴史から鑑賞スタイル、アクセス方法、マナーに至るまで、長年の経験を活かして執筆されています。
前半は撮影テクニック。前作と共通する部分もありますが、応用編ではより実践的に突っ込んだ内容となっています。こちらは中級者も対象にしている印象です。
後半は北海道から九州まで、全国から厳選された72の工場夜景スポットを、アクセスガイド付きで紹介。こちらは工場夜景の代名詞にもなっている川崎のページ。
こちらも全国屈指の工場夜景スポット、三重県四日市。地上から見る工場夜景だけではなく山や展望台からの撮影スポットを紹介されているのが非常に有り難い。
関西では和歌山、尼崎、姫路を紹介。大阪人としては堺泉北が選出されなかったのは残念。夜景観光に対する地元の取り組みが遅れている証拠かもしれません。
巻末にはRAW現像講座を掲載。現在、夜景写真はRAW現像までを一つの流れとして完成させることが多いので、初心者の方には非常に参考になると思います。
以上、岩崎拓哉氏の本の紹介でした。私がウェブサイトを立ち上げたのとほぼ同時期から活動されていて、夜景サイトが文字による情報中心から、高画質な写真を含めたビジュアル志向へと移行していく真っ只中の時代を供に切磋琢磨した方が著作を出版されるというのは非常に感慨深いです。彼の著作をきっかけに多くの方が夜景撮影に親しみ、裾野が広がっていけば素晴らしいことだと思います。